肘周囲の痛みには、軟部組織〈筋肉・腱・靭帯)の損傷から骨折、神経炎まで様々有ります。ここでは軟部組織に限定したお話をします。
肘の痛みで最もポピュラーなのは”テニス肘(外側上顆炎)”でしょう。これはテニスに限ったことでは無く、ラケットを使用するスポーツや指を多用する活動でもみられます。痛みを感じる場所は肘の外側です。物を握ったり手首を反らしたり、タオルを絞ったりした際に痛みが増加します。
一般的な処置は、患部の湿布、テーピング、サポーター、鍼、電気治療などでしょう。単発的に痛みが発生し原因がはっきりしている場合にはこの様な処置が有効です。問題は、繰り返し起こってしまう場合でしょう。
まず、解剖学的に肘に付着する筋肉は肩や手首からきています。さらに、筋・筋膜の連結では指先から頚部(首)までの連鎖があります。痛みの原因になっているところは患部に存在しないことがほとんどであると理解したほうがいいでしょう。例えば、指の動きの問題や首の問題から肘に痛みが出ている場合もあるということです。ですから、この原理に沿って治療を進めなければ再発のリスクは低減しないのです。痛み止めなどの過剰な使用は損傷部位の悪化に気づかず患部が難治化する恐れがありますので、繰り返しの痛みの場合はアプローチの方法を再考しましょう。
当院では、この筋・筋膜の連鎖(構造的問題)に神経ー筋肉(神経機能的問題)を合わせアプローチをしていきます。根本的には背骨から出ている末梢神経の働きを改善する必要があります。以前にも述べましたが、原因(神経)と結果(痛み)を整理し、単純に使いすぎや使い方の悪さで片付けないで下さい。仕事やスポーツで多用している方は是非参考にしてみてください。