身体のバランスを作る上で必ず考えなければいけないのが”固有受容器”です。
固有受容器は身体を動かす際、その方向、スピード、傾き、筋・腱の伸びなどを検出し、脳に伝えるセンサーです。このセンサーが正常に働かなければ筋肉量がいくら多くても、上手に使いこなすことは出来ず、怪我や転倒などにつながります。
どの部分のセンサーが正常で、どの部分が異常なのかをチェックし、理解することで新しい予防の概念が出来ます。怪我や手術後などのリハビリテーションでは、理学療法士が筋力や、関節可動域、固有受容器の回復に主眼を置き対処してくれます。入院しリハビリテーションを受けた方は聞いたことがあるかもしれません。
では一般の肩こりや腰痛、膝痛の方の場合はどうかというと、全く一緒です。首や肩の動き、腰の動き、膝の曲げ伸ばしなどの動作の正常な状態を維持するためには”固有受容器”の働きが必要不可欠です。痛みを取るうえで筋力の強化というのは必要ありません。これはデータでもはっきりしています。
<固有受容器から脳への情報量>
過剰→筋肉の過緊張→コリ・痛み・関節可動域制限
過少→筋肉の弱化→コリ・痛み・代償作用
正常→筋肉の適度な緊張→正常な運動・関節可動域
身体の見た目のバランス(肩の高さ、足の長さ、歪み)などを整えることは難しいことではありません。しかし、本来のバランスというものを理解し、健康に役立てていくことが必要ではないでしょうか。病気にかかり発熱したとします。熱を下げることは薬で出来ても病気はそうはいきません。神経の働きの異常を整えることは、病気を治す行為と同じだと思ってもらえれば分かりやすいかもしれません。