鼠径部(足の前面の付け根)や内転筋部の痛みはスポーツ選手には結構な頻度でみられます。
※股関節への直接的な打撲や高所よりの転落などの場合は、骨盤や股関節の骨折の可能性もありますので、痛みが強い場合は
病院を受診してください。
痛みの原因で多いのは、股関節と恥骨及び腸腰筋のサブラクセーション(神経関節機能異常)です。股関節には足の外内転、内外旋、屈曲伸展など様々な筋肉が付着しています。また、恥骨には内転筋群が付着しています。それらの筋肉の機能的なアンバランスが鼠径部の痛みを生み出していると考えられます。
<考えられる理由>
恥骨に付着する内転筋群は、股関節の内転だけでなく屈曲にも補助的に働いています。主導しているのは腸腰筋ですが、この腸腰筋の筋出力(純粋な筋力では無い)の低下があると過剰に内転筋群に負荷がかかり疲労が強くなります。
もう一つは、内転筋群の拮抗筋である中殿筋(股関節外転作用)の筋出力低下です。拮抗筋とは主に働く筋肉(収縮)と逆の 働きをする筋肉(伸長)を指します。どちらかが緊張すれば、反対側は緩みます。この場合は、中殿筋が緩み過ぎたため内 転筋群が過緊張を起こしていると考えられます。
どちらにせよ、股関節や恥骨に付着する筋肉の支配神経は腰椎から出ていますので、全体的な機能的調整は必須になります。痛みが強くなると歩くのさえ辛くなってしまいます。安易に筋力トレーニングやストレッチなどをすると痛みが増したり、治りが遅くなったりしますので注意が必要です。早期に適切なアプローチを心がけて下さい。